◆ 人間関係における考察 2⃣ ◆
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前回のメルマガ『人間関係における考察 1⃣』は
・人間関係とは
・組織における人間関係の重要性
・(個人の視点に立ち)「どのようにすればよい人間関係が築けるか」というテーマにおいてヒントをくれたのが
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代(アダム・グラント(著))』
というところまで話をしてまいりました。
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著者は、世の中に居る人を大きく3つに分けそれがどれくらいの割合でいるかを示しています。
・真っ先に自分の利益を優先する利己的な「テイカー」(19%)
・人に惜しみなく与える利他的な「ギバー」(25%)
・この中間で損得のバランスを取る「マッチャー」(56%)
この3つのタイプは、1人の人間が1つのタイプだけ持っているわけではなくて、その人が置かれる状況や役割によってタイプが変化するということです(多くの人が親しい人にはギバーとなり、職場ではマッチャーになる等)。
また、企業においては各タイプの人々がどのようなポジションを得るのかについて調査を行いました。すると、ギバーの性質を持っている人の多くは、他人のために自分の時間を犠牲にしてしまうためポジションが低く、平均給与額も低いという結果が出ました。そして、次に低いのはテイカーでした。なぜなら一時的に成功を収めることはあるものの長期的に見て大多数を占めるマッチャーから関係性を絶たれてしまう傾向にあるという理由です。そして、マッチャーはテイカーよりポジションや評価が高いという結果でした。
しかし、一方で非常に興味深い結果もあります。調査で最もポジションと給与が高かったのはギバーの傾向を持った人たちだったのです。つまり、「失敗するギバー」と「成功するギバー」の2種類いるという事です。では、どうすれば「失敗するギバー」にならずに、「成功するギバー」なれるのか、そのポイントは「達成型」「計画的」「自主的」にあるということが示されています。
かいつまんで言うと、「達成型」とは、自分にも相手を助けることにおいてメリットが感じられること。「計画的」とは、やみくもに助けるのではなく助ける時間にも区切りをつけるという考え方を持つこと。「自主的」という点では助ける人を選ぶことが大切と示されています。裏を返すと「自己犠牲的に相手の利益だけを100%考え、時間の際限なく誰でも助ける」といった人が結果として「残念なギバー」になってしまうという事です。そのように言われると、身の回りに一人や二人思いあたる人がいるのではないでしょうか。
少し話がそれてしまいましたが、本で示された内容を参考にさせて頂き個人の視点に話を戻したいと思います。個人が良い人間関係を築こうと思うと、テイカーになるのは愚策であると気づけます。短期的な目先の利益を優先して、長期的な資産である人間関係を崩してしまうことは想像に難しいことではありません。残るは、マッチャー的なスタンスとして生きるか、ギバー的なスタンスで生きるかということですが、これはその人の生き方が左右されるところです。本ではギバーのスタンスで生きていくことが成功への道と示していますが、多くの人に今いる組織の中でその実践を求めるのは少し難しいのではと思いますので、マッチャーでも「十分あり」だと思います。もしギバーを目指すなら「失敗するギバー」にならぬように気を付けていきたいところです。
つまりは、よい人間関係を築くにあたり「テイカー」と「残念なギバー」にならぬようにするというのが多くの人に受け入れられるラインではと思います。
自分自身の過去を振り返った時に、テイカーであった場面、マッチャーであった場面、失敗するギバーであった場面、あらゆる場面がありありと思い出せます。これまでのそれぞれの関係性を振り返り、良い人間関係が長期に渡って続いている関係性を紐解いてみると、前提として自分が相手にギバー的なスタンスであったこと(かつ相手もギバー、もしくはマッチャーというケース)が思い当たります。また、尊敬する人たちにもギバーのスタンスを持っている人が多くいます。そのように整理すると、やはり少しずつギバーのスタンスを自分の中に取り入れていきていきたいと私は思います。皆様はいかがでしょうか。
次回は、個人の視点から組織の視点にうつし、どのようにすれば組織の人間関係がよりよくなるのか考察を続けていきたいと思います。