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株式会社フェイスSCA

正しい課題だけが未来をつくる最高の材料に

◆正しい課題だけが未来をつくる最高の材料に◆

「今月は目標達成まで、あと5%になっています」
「目標の集客人数を、予定より3日早く達しています」

全国に小売店舗を展開するA社では、毎月個人の行動目標を策定し、
その達成に向けた進捗状況を共有するミーティングを開催しています。
現在、5人の幹部が中心となって、業績の向上に取り組んでいます。
最近、社内の雰囲気が変わリ始めていることは、
私でも容易に感じ取れることが多くなりました。

A社が、自らの組織の状態を明らかにするために、フェイスSCAの看板商品である
『組織診断』の実施依頼をいただいたのは、今から2年ほど前のこと。
このプログラムでは、役員から現場の社員、時にはアルバイトスタッフに至るまで、
組織に在籍する一人ひとりの人材に対して、社外コンサルタントという立場から、
様々な項目についてインタビューを行います。

集まった社員の生の声は、発言した人が特定される要素を注意深く省きつつ、
そのコメントの核心の意図を壊さないように注意深く編集、詳細な診断シートにまとめ、
経営者や幹部の方々に報告します。

A社のケースでは、500を超えるコメントを診断シートにまとめてY社長にご提示。
私たちとともに読み合わせを行いました。

「みんな社長の顔色をうかがっている」
「もうこの会社を辞めようと思う」
「全部『自分が悪いと言っておけばいい』と思っている」

コメントの多くは、『自己都合による自己正当化』のオンパレード。
経営者が目にしたら怒り心頭に発するであろう言葉の羅列にも関わらず、
極めて冷静に

「正直なこところ、薄々気づいていたことばかりですね…」

と静かに呟いたY社長。
内なる悲しみは誰よりも強かったことでしょう。

自分のことを棚に上げて、周囲を批判することは誰もが得意とするところ。
さらに…。
弊社の組織診断は、発言者の匿名性を高めることで、本音を引き出すことに
重点を置いた設計になっていますので、その言葉に込められた
『深慮なき破壊力』は非常に大きなものがあります。

一方で、その時点でもあったはずの『A社ならではの強み』
を語った言葉が非常に少なかったことも残念な点。
これは働く一人ひとりが自身の職場の強みを見失い、
同時に自信を失っているということでもあります。

しかし、この様な状況は、多くの組織で起こりえること。
そして、この様なマイナスオーラに満ちた言葉の中から、
キラリと光る改善のヒントを拾い上げる…。
これこそが組織診断というプログラムに秘められた最大の機能性だと言えるでしょう。

挙げ始めるとキリがないのが組織の課題。しかし、その一つひとつを丁寧に
拾い上げないことには、重要な課題が表面化することはありません。
その様な状態のままで組織改革を進めても、その施策は『掛け違えた梯子』
の様なものになってしまいます。

現在のA社では、幹部社員に対する研修が継続的に実施されるようになりました。
加えて、全社に向けたサービスマニュアルや身だしなみハンドブックの導入など、
様々な階層に向けた新しい取り組みも行なっています。
冒頭でご紹介した個人の目標設定と進捗共有ミーティングも組織診断を端緒とする
組織改革の流れの中で生まれた動きのひとつなのです。

一方で、その過程では新しい考え方に馴染めない人材が退職したり
人間関係に亀裂が生じたりするなど、様々な問題が起こりました。
組織改革を行うにあたって、この様な波風は避けて通れない出来事と言ってしまえばそれまでですが、
その矢面に晒される経営者や幹部の方々の苦労は並大抵のものではありません。
にも関わらずY社長は、持ち前の冷静さを失うことなく、
「粘り強く取り組むだけです」
と、一つひとつの課題に対して丁寧に注力し続けています。

Y社長は、今でも変革の起点となった診断シートを何度も読み返し続けています。
加えて、幹部をはじめとする部下の方々にも、その内容を共有し続けることも忘れません。
「だから俺は、会社を変えたいんだ!」
と、真摯に訴え続けているわけです。
成し遂げたい目標があって、目指す未来がある。
だからこそ、困難をものともせず、前を向き続けることができるのでしょう。

「まだ、手放しで喜べる状態になったとは言えない」
「でも、以前とは違う組織になったのは間違いない」
2年前の硬さか幾分薄まった穏やかな顔で、やはりクールに語るY社長。

着実に成長を続ける変革の芽を、私も一緒に育み続けたいと考えています。

株式会社フェイスSCA
代表取締役 針生 英貴