◆なぜ、人は育つのか?◆
とある会社で企画、実施をした若手育成プログラムは、
今後成長を期待する若手社員を選抜し、3年間かけて次期管理職候補に向けて成長を促していく息の長いプロジェクトです。
先日、その企業で、本プログラム第1期生との3年が終わり、続いて選ばれた2期生メンバーが3年目の研修開始の日を迎えました。
上司がプログラムに参加する自らの部下である参加者に向けたメッセージシートに目を通して見ると…
「あらゆる業務に対して責任感を持ち、迅速に対応している」
「上司・先輩の仕事を積極的に引き受け、フォローしている」
「営業所の従業員からの信頼が厚い」
「現場に居ると心強く周囲の安心感に繋がっている」
そこに記された言葉から、参加者の成長が現実のものになっている様がひしひしと伝わります。
選抜メンバーには、20代前半にして役職者となり、時に年上の部下や後輩に接するというハードルの高い日常に晒されている社員の姿も。
自分の役割を全うしようと奮闘する彼らは、もちろん粗削りな側面もありますが、言い換えればそんな部分にも、彼らのさらなる伸びしろを感じることができます。
それにしても、この会社の若手社員は、なぜ、成長し続けることができるのか?
私たちの研修プログラムの成果である、と言い切れるに越したことはないのですが、
現実はそれほど簡単な話ではありません。同じ研修を導入した全ての企業が、同じ成果を手にするのかといえは、その答えは「NO」。
成果には、やはり差が生じます。このクライアントが叶えた成果は、成長を実現させようとする職場の「環境」と人材に備わった「資質」が、とてもうまく作用した結果であると考えています。
あらゆる成果は、様々な要素が作用した結果です。
人が成長するための「環境」は重要です。職場の場合、模範となる上司の存在、育てようとする上司の存在、責任ある仕事を任せる上司の存在。
更には、会社の方向性や価値観がしっかり伝わる仕組みが存在するかどうか…。
これらの「環境」が人材に与える影響は無視するわけにはいきません。
さらに、職場を一歩出た後に個々が置かれた環境も大きく関係します。
例えば、結婚して子供が生まれたり、予想外に親を扶養しなくてはいけない状況におかれたり。
一人ひとりが仕事によって成し遂げようとする目的も大きく作用するでしょう。
では、社内環境を整備して、個人の環境=目的が明確な人材を選抜すれば、全ての人が育つのかと言えば、これまた簡単に片付く話ではないのです。
その環境を活かしながら、人が成長するために欠かせないのが「資質」というもう一つの要素。これはひとえに素直であるかどうかに尽きます。
周囲のアドバイスを謙虚に取り入れることができるに勝る資質はありません。
一方で、傲慢がゆえに上司や同僚、部下といった周囲の人々のアドバイスを受け入れない人は、成長がどこかで止まってしまいます。
もしあなたが、人を成長をさせる立場にあるとしたら、その原因を自分が作り出す「環境」を見つめ直す必要があります。
また、もしあなたが、成長をする立場にあるとしたら「自分のありかた=資質」について振り返る必要があるでしょう。
もっとわかりやすく言えば…
成長させる立場の人が、資質を責めたらどうなるか?
成長する立場の人が、環境に文句を言ったらどうなるか?
この答えは誰の目にも明らかです。
成長=環境×資質。
成長する当の本人はもちろん、その成長を支える上司や同僚にとっても大きな喜びです。
私も、そばで見ているだけで嬉しく感じます。その喜びこそが、私の原動力。
人が育つ環境の実現と、成長する人の資質の開発と発掘に貢献しながら、
活躍する一人ひとりの幸せと企業の発展を支援し続けたいと思います。