もっと個人・組織の「価値が発揮される」企業へ! 理論と実績に基づく研修・コンサルティングでお客様の経営を支援します(オンライン研修対応)
株式会社フェイスSCA

スタッフのモチベーション

◆ スタッフのモチベーション ◆

 先日実施させていただいた管理職研修のことです。
 研修を実施する前には、当然人事の方や経営層からの研修に期待することや、研修のゴールをお伺いするのですが、今回はもう一歩踏み込んで具体的なところを知りたく、事前に参加者に「現在困っている事」「知りたいこと」を集めて頂きました。

 すると、半数近くの参加者から「スタッフのモチベーションを維持・向上するには」という意見が上がりました。その会社ではコロナの影響を真正面から受けてしまい、コロナ前までは非常に好調な状況から、一転厳しい状況が約2年近く続いています。各拠点で拠点のトップとスタッフとの間に立つ参加者の方々が、自身を取り巻く環境変化に対応しなければいけないことに加え、スタッフのモチベーションを維持・向上することに苦戦する姿が浮かんできました。

 研修前に、どのような内容をお伝えするのが参加者の方にとって一番良いのか考えました。厳しい状況を打開するには、何が必要か。そこで真っ先に浮かんだのが、私が新入社員時代に経験したことでした。

 私が新入社員時代に配属された店舗では、一時期、お客様が離れてしまい閑古鳥が鳴いている時期がありました。多いときは、館内に1300人近くのお客様であふれているのに、どんどんお客様が減ってしまい、しまいにはお客様が30人もいかない時期を迎えてしまいました。毎日お客様があふれていた時期と比べて、手持無沙汰かつ、時間が経つのが長く感じ、追い打ちをかけるように、お客様からも「おたく潰れるの?」などと聞かれたこともありました。

 そのような日々を過ごしている中での、ある日の事です。いつも通り閉店作業をしていると、フロアの奥の方から物音がしたので見に行きました。すると店長が脚立を使って、天井のエアコン掃除をしていたのです。後で聞いたら、当時予算が少なかったので市販の洗剤を買う余裕はなく、東急ハンズで買ってきた材料で洗浄剤をつくり「お客様が少ない今がチャンス。だからこそ、こうしたメンテナンスができる」と思ったとの事。そんな一人汗かく姿を見た当時の私は「不安な気持ちを持つより、目の前のやれることを探そう」と気持ちが切り替わりました。翌日からは、引き続き少ないお客様でしたが、一人ひとりに精一杯接客をしようと思ったものです。そしてその後も普段事務所にいた店長が積極的にフロアに出てお客様の対応をしている姿を見て、安心をしたものです。

 振り返って、あの時の店長の気持ちはわかりませんが、「スタッフのモチベーションを上げようと思ったのか」というと、そうではないと思います。きっと「自分やお店の未来のために自分にできる事に集中しただけ」なのではないでしょうか。

「周囲の環境のせいにせず諦めない、お客様に喜んでいただけるために、今、自分にできることを見つけて取り組む」
そのような行動が結果として、私の思考に影響を与えたのではないかと思います。

相手を変えることはできない。できるのは自分の行動を通じて影響力を与えることくらいです。厳しい状況であるからこそ、見方を変えれば、普段以上に管理職の人たちの影響力を発揮できるチャンスでもあるかと思います。その後私が居たお店は回復の一途を辿りましたが、店長への信頼を寄せる大きなきっかけとなったのは事実です。

 これはある種の精神論かもしれませんが、私にとっての経験でありその後の自分自身のリーダーシップを考えるにあたり影響を受けた事実です。もちろん、それ以外にも「ビジョンを共有すること」や、明日から使える「リフレーミング」なども有効だとは思いますので研修では合わせて紹介をさせていただきました。研修最後の感想共有では「リフレーミング」が即効性あると思われたのか記憶に残っていたようでしたが、一番伝えたかったことは、「自身のリーダーシップ・フォロワーシップ」でした。
 スタッフのモチベーションに対して、管理職の言動が与えている影響は決してゼロではないはずです。自分たちが信じる明るい未来に向けて、今一度各自の影響力の発揮を願う1日でした。