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株式会社フェイスSCA

人間関係における考察 ③

◆ 人間関係における考察 3⃣ ◆
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前回のメルマガ『人間関係における考察 ②』においては、
個人の視点から『よい人間関係を築くにあたり「テイカー」と「残念なギバー」にならぬようにするというのが多くの人に受け入れられるのでは』(『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代(アダム・グラント(著)参考)
とお伝えさせて頂きました。
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 今回は、組織運営視点でどのようにすれば自らの組織の人間関係がよりよくなるのか考察をしたいと思います。今回は、私自身のこれまでの経験(これまで自分が属した組織やクライアント、また周囲の話)によるところが多いため、若干の偏りがある意見と思われますが、その点ご理解頂ければと思います。

 組織の人間関係を段階的に構築していく際に、大きくポイントは3つ+αあると思います。これから組織を作っていく人の参考になれば幸いです。
1つ目は、主に初期段階における相互理解・自己開示
2つ目は、共通目的・共通目標への貢献
3つ目は、許容すること、また助け合う事
+αとは、そもそもテイカーを組織に入れない、もしくは要職に就かせない
という事です。

 1つ目の「主に初期段階における相互理解・自己開示」ですが、そもそも人間関係が構築される初期段階において「不安」がつきものであると思います。よって、一緒に働く同僚がどんな人なのかを知ることや、自分がどんな人かを知ってもらうことにより「不安」を減らします。例えば、初めて一緒に働く人たちを集めた開業前研修ではペアを組んで相互インタビューなどをし、自分の事を理解してくれる人をつくります。またOJTトレーナーと新卒間での実施、新卒研内で実施をすることでその後がスムーズに運びます。

 2つ目の「共通目的・共通目標への貢献」は、共に達成したいと思える目標に対して貢献することです。はじめは小さな成功体験でも構いません。「お互いが力を合わせて何かを成し遂げた経験」によって、人間関係はさらにもう一歩先に進みます。この段階になると「信用してみよう」という関係性に徐々に近づいていきます。

 3つ目の「許容する事、また助け合う事」の前提には、「完璧な人など世の中にいるわけではなく、誰しもが間違うことも失敗することもあるし、足りないところがあって当たり前」という人間観を自分に対しても相手に対しても持ち、そのうえで「相手を許し、助ける」
ことができると、人間関係は「安心」感に変わります。

 「不安の除去」から「信用」、「安心」を経て、さらに高い目標に向かってチャレンジをしていく中で互いの高い貢献と支援を感じることで「信頼」関係が育まれるのではないでしょうか。ここに関しては字数の関係でまた別の機会で触れたいと思います。

 先の3つも大事ですが、実は、組織を構築していく中で最も気を付けて頂きたいのは、「テイカー」を採用しないことです。一人のテイカーの存在が、周囲のギバーの貢献を奪い去り、残念なギバーに変貌させてしまう状態を私は嫌というほど見てきました。また、要職についてしまうことで組織を疲弊させてきた姿もしばしば見てきました。
 
 テイカーの中にはある種リーダーシップがあり、強引にでも自分の利のために人を使うことは長けているので短期で結果を出してしまうことがあるのでしょう。しかしそれが長期的に続くかというと、そうではないというのが20年近く様々な企業を見てきて感じたことです。関係性は「信用」「安心」とは離れ、「不信」や「疑念」が蔓延ります。

 組織運営においては、誰をリーダーに据えるか(もしくは自分のNo2)が組織の資産である「関係性の質」が全く変わってくるという点では最も気を付けるべき点ともいえるのではと思います。