◆ 上司・先輩には言えない新入社員の本音 ◆
「新入社員との年齢的なギャップがあり、何を考えているかわからない」
昨年、OJTトレーナー研修を実施させて頂いた企業の研修参加者からそのような声を頂きました。そこで、人事の方と相談し、本年度は入社から1年経った社員の方々のご協力を得て匿名でアンケートを行い、さらに整理・分析・加工をした上でOJTトレーナー研修にて活用をしました。目的は、OJTトレーナー制度の推進です。
結論から申し上げると、非常に効果的であったと感じました。
何故なら、私も想像をしていなかった上司・先輩には言えない新入社員の本音が聞けたからです。もちろん、そのような声が拾えたのは、人事の方と新入社員の関係性が大きく影響しているということが前提にあります。
質問項目は大きく3つ設けました。
質問1「OJTトレーナーとの関わりで、されて嬉しかったこと、感謝していること」という質問では、
・「丁寧・かつ根気強い指導」
・「聴きやすい雰囲気」
・「職場の人間関係作りへのサポート」
が上位に挙がりました。
この事から「どう伝えるか(指導するか)」とともに「いかに新人が聞きやすい雰囲気づくりを出すか」、また「(コロナの影響が少なからずあるのか)対面での人間関係づくりに関しての経験が少なく、不安に感じる」のではと感じました。
質問2「OJTトレーナーとの関わりで、されて辛かった事、嫌だった事」においては、
・「指導方法」というより、「コミュニケーション不足(関わりが少ない)」についての声が多く挙がりました。
質問3「今後OJTトレーナーになる人に知っておいてほしい新入社員の気持ち」については、今回のアンケートで一番印象に残った声があります。それは、
・『分からないことが分からない状態にいることがしばしばある。「質問ある?」と聞かれるのが結構怖い。OJTだから気を遣ってしまうこともある』
という内容です。
研修に参加したOJTトレーナーからは「『分からないことが分からない』というのは分かる。しかし、ついついしがちな『質問ある?』という声掛けに対して、新入社員が『質問をしなきゃいけない、でも何を質問していいか分からないので聞かれるのが怖い』という思考になってしまうことについては、思った以上の事実だ」と印象に残ったようです。
の企業では新入社員とOJTトレーナーの相互理解のオリエンテーションを図ったり、1年間新入社員・OJTトレーナー・人事で共有するレポートのやり取りなど活用しているせいか、同じ業種の中で、新入社員の3年間の離職率はかなり低い数値で推移していますが、油断はできないと私も考えさせられました。
教える側の対応としては、「分からないことが分からないことは当然」と思い、「質問しやすい雰囲気」と「答えやすい具体的な質問(例:「今週ずっと見てもらった○○業務が、来週には一人でできるようになってほしいけど、分からないことはある?」等)」をするのが効果的ではないでしょうか。
アンケートを通して思ったのは、コロナや学校教育の変化等による社会情勢の変化が新入社員の意識や思考に影響を及ぼしており、そこに気づかず普段通り受け入れをすることでは、これまでと同じような結果が得られないのではという事です。各社の受け入れ態勢も少しずつ、時代に合わせて変えていく部分も必要ではないでしょうか。