◆ 内省 ◆
「内省する」と聞くと、ポジティブなイメージで捉えますか?ネガティブな
イメージで捉えますか?20代後半~30代の私は、ネガティブに捉えていま
した。それは、私が「内省≒反省」と捉えていたからです。自分を省みること
は、自分のできていないところと向き合うことと思い、正直気乗りしませんで
した。内省するよりも前を見て、今後何をしていくかのほうが重要だと思って
いました。
先日、入社1年を振り返る(内省する)研修を入社2年目の社員の皆さんに
実施しました。開始当初の雰囲気では、当時の私のように「そのようなことに
意味はあるのか?」「その時間があったら目の前のことを片付けたい」「反省
するってことかな?」「それよりも知りたいのは、どう目の前の問題を解決し
ていくか」という人も中にはいたのではと思います。
目の前の問題を解決する手法を知ることは、それはそれで大切なことです。
しかし、これは言い換えてみると、「自分というOS(Operating System)」
をアップデートせずに、「スキルやテクニックというアプリケーション」を入
れるようなものであると、今の私は思います。アプリも便利ですが、やはり
「OS」も大事であることは言うまでもないことかと思います。
その「自分というOS」を見直すのに効果的なのが「内省」です。ちなみに
「反省」は、「主に自分の間違った考えや言動などを振り返ること(例:反省
文)」「内省」は、「自分自身(の心)と向き合い、自分の考えや言動を振り
返り、気付くことを目的」としています。
自分の1年間を振り返り、嬉しかった経験・悲しかった経験の背景には、そ
れぞれが現在持っている自分のパラダイム(ものの見方・考え方見解)があり
ます。先の研修参加者の中に「人から感謝される事・貢献する事に価値を置い
ている(OS)」人がいました。このOSのエネルギー源は「周囲からの感謝」
です。しかし、入社してからの1年間は思ったほどの貢献ができず、感謝され
ない状態が続いたために、ガス欠になってしまいそうでした。しかし、内省を
通して「自分がどのように貢献し感謝されたのか、その事実と経緯」をきちん
と振り返ったことで、プロセスを再現できるほどの知恵を得ました。その結果、
今後に向けての明るいイメージを持つことができたのではと思います。そのよ
うに、内省するプロセスによっては、自己肯定感や自信にもつながります。
もちろんある程度のキャリアになると、逆に過去の成功パターンを手放さな
くてはいけないこともあります。それについてはまた別の機会で触れたいと思
います。
間違ったアプローチをすれば、アップデートどころか、自信を失わせること
や逆に過信してしまうことがあるので注意が必要ですが、「内省」をきちんと
すれば、自分がアップデートされていく感じを持てます。思った以上に成果が
出ない、何か行き詰ったと感じた時には、アプリに頼らずOSをアップデート
するための内省をすることも一つの選択肢として考えてはいかがでしょうか。
私も帰り道の電車の中で、その1日を内省しながら帰りました。